棒でつながれた質点系の運動

棒でつながれた質点系。なぜ円運動の方程式を使えるのか? Yahoo!知恵袋>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1187616916 より。
【問題】
なめらかな水平面上に,質量Mの質点と質量mの2つの質点を軽くて伸び縮みしない長さlの棒でつないだものが置いてある。棒は接合部で自由に回転できるものとする。初期状態で質点は図のように一直線をなしている。真ん中の質点Mに図のように右方向の初速度V_0を与えた。この直後の質点mが棒から受ける力の大きさはいくらか。

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流星群の衝突

Yahoo!知恵袋>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1091929910 より。万有引力(中心力)下の運動に関する基本的な問題である。
【問題】
地球中心を原点としてある方向にx軸をとる。無限遠から十分広範囲に分布した隕石群が-x方向に速さv_0で接近してくるとする。これらの隕石群のうち地球に落下する範囲をx軸からの距離で答えよ。ただし,地球質量をM,地球半径をR万有引力定数をGとし,隕石相互や他の天体による引力は考えないものとする。
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横一列で地球に接近する流星群

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直線2連振子のエネルギー(2)

直線2連振子のエネルギー - 科学のおもちゃ箱@Hatena定量的考察を試みた。
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まず,初歩的な計算で最下点までのエネルギー移動を考察しよう。
本来の題意である最下点での速さv_1,v_2を求める。

力学的エネルギー保存により

\displaystyle\frac{1}{2}m_1{v_1}^2 + \frac{1}{2}m_2{v_2}^2 = m_1gh_1 + m_2gh_2

ここで,

v_2 = \displaystyle\frac{h_2}{h_1} v_1

を考慮して解けば,

v_1 = h_1 \sqrt{\displaystyle\frac{2g(m_1h_1 + m_2h_2)}{m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2}}

v_2 = h_2 \sqrt{\displaystyle\frac{2g(m_1h_1 + m_2h_2)}{m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2}}

を得る。したがって,おもり1のエネルギー変化は

{\it \Delta}E_1 = \displaystyle\frac{1}{2}m_1{v_1}^2 - m_1gh_1

   = \displaystyle\frac{m_1m_2gh_1h_2(h_1 - h_2)}{m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2} \gt 0

同様に {\it \Delta}E_2 = -{\it \Delta}E_1 < 0 を得る。

「個別の力学的エネルギー保存が成立するのではないか」

という勘違いとともに多く見られる勘違いは,

「重心の力学的エネルギーは保存するだろう」

というものである。もちろん重心まわりの回転のエネルギーを忘れてはいけない。

重心の軸からの距離および最下点での速さ

h_G = \displaystyle\frac{m_1h_1 + m_2h_2}{m_1 + m_2}

V = \displaystyle\frac{h_G}{h_1}v_1

を考慮すると

\displaystyle\frac{1}{2}MV^2 = \frac{g(m_1h_1 + m_2h_2)^3}{(m_1 + m_2)(m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2)}

失われた重力による位置エネルギーとの差をとれば

g(m_1h_1 + m_2h_2) - \displaystyle\frac{1}{2}MV^2 = \frac{m_1m_2g(m_1h_1 + m_2h_2)(h_1 - h_2)^2}{(m_1 + m_2)(m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2)}

この差は重心まわりの回転のエネルギーまたは,相対運動のエネルギーということになる。

\displaystyle\frac{1}{2}I\omega^2 = \frac{1}{2}\mu {v_r}^2 = \frac{m_1m_2g(m_1h_1 + m_2h_2)(h_1 - h_2)^2}{(m_1 + m_2)(m_1{h_1}^2 + m_2{h_2}^2)}

は容易に確認できるだろう。ただし,

M = m_1 + m_2

\mu = \displaystyle\frac{m_1m_2}{M}

\omega = \displaystyle\frac{v_1}{h_1} = \frac{v_2}{h_2} = \frac{V}{h_G} = \frac{v_r}{h_1 - h_2}

Iは重心まわりの慣性モーメントである。

直線2連振子のエネルギー(3) - 科学のおもちゃ箱@Hatena へ続く。

(初稿:2012/12/06)