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磁場とは何なのか?

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1199166256より。電場と磁場の統一に関する根源的な疑問。(初稿2012/12/24)


そのまま転載させていただく。

【質問】磁場とは何なのか

磁場と言えば磁石ですが、磁場が電子にローレンツ力を及ぼすという事実や、磁石の正体が原子レベルの電磁石の集まりであることを考慮して、運動する電子に対してローレンツ力を及ぼす場が磁場である、という定義で理解しようとしています。

ところが、電磁誘導を説明するとき、磁場が静止して見える観測者からは、「導体棒内の電子が静磁場からのローレンツ力を受け、起電力が生じる」となりますが、導体棒が静止して見える観測者からは、「磁場の運動によって誘導された電場が、導体棒の電子にクーロン力を及ぼし、起電力が生じる」となります。両者を統一的に理解するには、電磁誘導rotE=∂B/∂tを使って、「磁束密度が変化すると、渦を巻くような電場が生じる」と考えればいいらしい、ということはなんとなく分かりました。

しかし、これでは、磁場の働きの本質であったローレンツ力を、磁場が誘導した電場の働きとして理解することになると思います。つまり、磁場はそれ単独ではなんら影響を及ぼさず、誘導した電場によってはじめて作用することになります。このような間接的な作用しか及ぼさない磁場とは、いったい何者なのでしょうか。もしくは、どこかで考え違いをしているのでしょうか。

【回答】

電場および磁場の源にさかのぼると,それは紛れもなくひとつの物理量である「電荷」にたどりつきます。磁場の源は電流ですが,電流は電荷の移動に他なりません。

物体の属性としてひとつの物理量があることによって生じる力の場は,本来ひとつであるべきだと考えます。これがabs4416absさんの質問の根底にある疑問に即する考え方ではありませんか?

卑近な例ですが,床上にある物体が床から受ける力として垂直抗力と摩擦力がありますが,本来これは物体が床に接触していることによって生じる抗力の2成分に過ぎませんね?

ですから,電場と磁場とはひとつの場の成分であると考えることができるのです。ひとつは電荷の存在そのものによって生じる電場の成分,もうひとつは電荷の運動によって生じる磁場の成分です。しかし,これらはベクトルとしては互いに垂直で,テスト電荷に対する作用も異なるため,相互に書き換えることのできない独立なベクトル場になっています。ですから,それをベクトル場として統一することは不可能なのです。また,電場と磁場とをそれぞれ測定することが可能ですが,それらを同時に(1つの方法で)測定することは困難で現実的でありません。こうした事情から,私たちは電場と磁場とを相対的に独立な存在として認め,それらの関係をつなぐ法則(マクスウェル方程式)をもってひとまずの「統一」をはかっているわけです。

相対論では,電荷と電流とは4元ベクトル量としてひとつの物理量に統一され,したがってまた電場と磁場も4元テンソル量としてひとつの場に統一されます。そしてマクスウェル方程式は電磁場テンソルの基本性質として2つの(見方によっては1つの)テンソル方程式にまとめられてしまいます。また,観測者の運動によって電場と磁場が相互に変換するということは,電磁場テンソルの変換として記述されます。

abs4416absさん の求めておられる根本的な疑問の解決は,相対論における電磁場の統一にこそあると考えます。観測者の運動によって電場が磁場に見えたり,磁場が電場に見えたりするのではなく,現実に電磁場テンソルの電場成分と磁場成分とが相互に入り混じりながら変換されるのです。

残念ながら,それぞれの成分自体をまとめてしまうことはできません。ですから,私たちは電場と磁場とをひとつの電磁場テンソルの成分であるとすることはできても,それらがいずれも他方に替えることのできない独立な存在であることは認めざるを得ないようです。これは,電場と磁場とを独立な場として発見してきたという歴史的な事情による制約であるとする見方もできます。広い宇宙のどこかには初めから2つの場を統一的にテンソルとして発見している文明があるかもしれませんね。

【お礼】

なるほど・・・こんなに詳しく書いていただいて、しかも内容がピンポイントで感激です!つまり、電磁場はベクトルでは不十分な統一しかできないが、ランクを1つ上げて2階のテンソルとして考えれば1つの場になる、ということでしょうか。テンソルは難しそうで遠のいていたのですが、本腰入れて勉強してみたいと思いました!