浮力による位置エネルギー

浮力は保存力であり,したがってポテンシャルが定義できる。
浮力による位置エネルギーについて考察してみよう。


一様な密度 \rho をもった水平断面積 S,高さ h の円筒が,密度 \rho_0 の液体中,深さ y (ただし円筒底面の深さ)にあるとする。また,水は多量にあり,物体を沈めたことによる水面の上昇は無視できるものとする。
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浮力 F は下向き正として

F = -\rho_0 Syg  (yh
F = -\rho_0 Shg  (y\geqq h

したがって,浮力による位置エネルギー U_f は y\geqq h に対しては

U_f = -\int^y_0 F dy = \rho_0 Sg\left(\int^h_0 y dy + \int^y_hhdy\right)=\rho_0 Sgh\left(y-\displaystyle\frac{h}{2}\right)

となる。これは,物体の浮心位置を基準として,水面にある物体と等しい体積の水の,重力による位置エネルギーにほかならない。浮力が本質的に重力によって生じるものであることから当然の帰結であろう。結果的に物体が押しのけた水が水面の高さに行ったと考えてよい。

0yh の場合には,

U_f = -\int^y_0 F dy = \rho_0 Sg\int^y_0 y dy = \displaystyle\frac{1}{2}\rho_0 Sgy^2

となる。重力による位置エネルギー U_g = -\rho Shgyとの合計は

U = U_g + U_f = \displaystyle\frac{1}{2}\rho_0Sg\left(y^2 - \displaystyle\frac{2\rho}{\rho_0}hy\right)

となり,復元力のエネルギーに相当する。\rho\rho_0 のとき U を最小とする

y=\displaystyle\frac{\rho}{\rho_0}h

は,安定点(つりあいの位置)であることはいうまでもない。