慣性力の仕事

そんなものありゃせん…と思ってはいけません。加速系に乗ったときに現れる慣性力。加速系においてエネルギー保存を要求するなら、慣性力による仕事を加味しなければならない。それは結局、外から見る立場では、加速された実験室の運動エネルギーに姿を変える。(工事中

問題場面は、振り子に衝突された質量 m の物体Aが、初速度  v_0 をもって台の上をすべっていく。Aと台の間には動摩擦力 \mu^\prime mg が働き、質量 M の水平台がなめらかな床の上で初速ゼロから加速される。一方Aは、減速して台の途中で台に対して止まる。最終的には台とAは一体となって一定速度 V で床上を動いていくことになる。

まず、ふつうに外から見た立場で、系の運動量は保存されるので

 mv_0 =(M + m)V

エネルギー保存により

\displaystyle\frac{1}{2} m{v_0}^2 - \mu^\prime mg d = \frac{1}{2} (M + m) V^2

ここに、d は台上でAが滑った距離である。もちろん、摩擦力の仕事は、台が受ける正の仕事とAが受ける負の仕事の決算で、実質すべり距離 d を乗じたものになる。その辺は、外から見た立場はすべてお見通し!

たとえば、v_0 を与えて V および d 求める、というような問題が考えられる。

さて、これを台とともに動く立場で考察しよう。台は加速系であるために、Aは慣性力  - ma を受けるように見える。慣性力の仕事を考慮して、Aのエネルギー保存を考えると、

\displaystyle\frac{1}{2} m{v_0}^2 -  \mu^\prime mg d - ma d = 0

台に乗った観測者が実際に観測することは、台が昇り斜面になっていて、重力加速度がやや大きくなっている…ということだけである(慣性力との合力を重力と見る)。

さて、外から見た万能の立場をフルに活用して、両者が同じ方程式であることを証明しよう。まず、台の加速度は

 a = \displaystyle \frac{\mu^\prime mg}{M}

エネルギー保存から