曲面上の転がり速度について

半径 R の円筒面内側をすべりなく転がる半径 r \quad (r \lt R) の円板の転がり速度について、円板の角速度 \omega と円筒面の中心角に対する角速度 \Omega の間に次の関係が成立する。

 r(\omega+\Omega) = R\Omega

初め、平面上の転がりと比べて考察した。

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たとえば円板の1回転に対して中心角が \theta=\Omega Δt だけ転がったとする。このとき円筒面を平面に伸ばすと円板は \theta だけ余分に回転したのと同等である。したがって、

 r(\omega + \Omega) = R\Omega

が成立する。

さらに考察を深めると、次のように考えた方がよりエレガントで簡明かもしれないと思った。

どんな曲面を転がる場合も、円板の接地点(転がり面との接触点)はいわゆる瞬間回転中心であり、すべらない限り速さゼロである。したがって、接地点に対する円板中心の速さは、

v=r\omega

になる。一方、円板中心は半径 R-r の円弧を描くから、その速さは、

v=(R-r)\Omega

と書ける。したがって、

r\omega = (R-r)\Omega

を得る。こちらの考察のほうが汎用性も高く、円筒外面を転がる場合や曲面一般を転がる場合への適用がわかりやすいと思う。

r\omega= 中心軌道の曲率半径×軌道角速度

が一般的な関係となる。