高所からの斜方投射の到達領域

過去に、斜方投射の図形的解法がぴったりくる問題に出会ったことがある。最近同様の問題に出会ったので、初稿のまま紹介しておく。
【問題】
一定に定められた初速で地上からボールを斜方投射したときに到達できる落下点の最大水平距離をL_0とするとき,高さhから同様に投射したときの落下点の最大水平距離は,

L_{\rm max.} = L_0\sqrt{1 + \displaystyle\frac{2h}{L_0}}

となることを証明せよ。ただし,空気抵抗は無視できるものとする。

Algodooによるシミュレーション
Algodooシーンのダウンロード

https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=512&file=Toutatsu-Ryouiki.phz


なまじっか放物運動の数学を知っていて,「まずは軌道方程式を求めて…」などとホイホイ始めると,泥沼にはまる。自由落下系に乗り換えると無重力で等速直線運動となるからわかりやすい。図のようになることは,初速度v_0の仰角を\thetaとして,

y = h + v_0\sin\theta\cdot t - \displaystyle\frac{1}{2}gt^2 = 0

と比較しても納得できる。

初速度v_0,重力加速度g,落下時間t,落下点の水平到達距離をLとすると,図より

L^2 = {v_0}^2t^2 - \left(\displaystyle\frac{1}{2}gt^2 - h\right)^2

  = -\displaystyle\frac{1}{4}g^2\left\{t^2 - \frac{2({v_0}^2 + gh)}{g^2}\right\}^2 + \frac{({v_0}^2 + gh)^2}{g^2} - h^2

したがって,落下点の最大水平距離は,L_0 = {v_0}^2/gを用いて

L_{\rm max.} = L_0\sqrt{1 + \displaystyle\frac{2h}{L_0}}

となる。
(初稿:2011/08/04)

最大水平距離 L_{\rm max.} を得る投射角 \theta は次のようにして得る。

\tan\theta = \displaystyle\frac{gt^2/2 - h}{L_{\rm max.}}

これに、滞空時間 t に対して成立する

t^2 = \displaystyle\frac{2({v_0}^2 + gh)}{g^2}

を適用すれば、

\tan\theta = \displaystyle\frac{v_0}{\sqrt{{v_0}^2+2gh}}

を得る。
(追記:2023/02/22)