すべる棒が壁を離れるとき

Yahoo!知恵袋から。回答しかけたら質問者が削除してしまった。ちょっとドキッとした問題。
【問題】
図のようになめらかな棒を鉛直な壁に対して\theta_0の角度で立てかけて,手を離したとき,棒が壁から離れるときの壁に対する角度\thetaを求めよ。
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第1回答者は,「棒は壁から離れずにたおれるはずだ」と言い切った。私は,問題を読んで,すぐに同様に考えていた自分を反省して,計算にとりかかり,いざ回答しようとしたところで,残念ながら質問者が質問を取り消してしまった。
※Algodooの設定は,\theta_0 = \pi/6である。


【解答】
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床と壁の交点を原点とし,水平右方向にx軸,鉛直上方にy軸をとる。棒の長さをlとおくと,壁との角度\thetaのとき重心の座標・速度・加速度は,

$$x = \frac{1}{2}l\sin\theta \qquad y = \frac{1}{2}l\cos\theta$$

$$\dot{x} = \frac{1}{2}l\dot{\theta}\cos\theta \qquad \dot{y} = -\frac{1}{2}l\dot{\theta}\sin\theta$$

$$\ddot{x} = \frac{1}{2}l(\ddot{\theta}\cos\theta - \dot{\theta}^2\sin\theta) \qquad \ddot{y} = -\frac{1}{2}l(\ddot{\theta}\sin\theta + \dot{\theta}^2\cos\theta)$$

図のようにおくと,運動方程式

$$m\ddot{x} = R$$

$$m\ddot{y} = N - mg$$

$$I\ddot{\theta} = N\cdot\frac{l}{2}\sin\theta - R\cdot\frac{l}{2}\cos\theta$$

エネルギー保存により,

$$\frac{1}{2}mgl\cos\theta_0 = \frac{1}{2}m(\dot{x}^2+\dot{y}^2) + \frac{1}{2}I\dot{\theta}^2 + \frac{1}{2}mgl\cos\theta$$

ただし,上で棒の重心周りの慣性モーメントは,

$$I = \frac{1}{12}ml^2$$

である。エネルギー保存から,

$$\dot{\theta}^2 = \frac{3g}{l}(\cos\theta_0 - \cos\theta)$$

ここで,R=0とおくと,運動方程式の水平成分より\ddot{x}=0。すなわち,

$$\ddot{\theta}\cos\theta - \dot{\theta}^2\sin\theta = 0$$

$$\therefore \ddot{\theta} = \dot{\theta}^2\tan\theta$$

また,回転の運動方程式より,

$$N = \frac{ml\ddot{\theta}}{6\sin\theta} = \frac{ml\dot{\theta}^2}{6\cos\theta}$$

さらに,運動方程式の鉛直成分より,

$$\ddot{y} = -\frac{l}{2}(\ddot{\theta}\sin\theta + \dot{\theta}^2\cos\theta) = \frac{N}{m} - g$$

上の結果を代入して整理すると,

$$\cos\theta = \frac{2}{3}\cos\theta_0$$

を得る。壁に接した端点または重心が,初めの高さから2/3の高さになるまですべり落ちた時点で,棒は壁を離れ始める。離れる瞬間は,重心速度の水平成分が一定に移行することから判定できる。
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Algodooシーンのダウンロード
https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=401&file=Suberu-Bou.phz

(初稿:2010/06/10)