FR車の加速

後輪駆動車の単純化モデルについて,その加速の問題。
【問題】(大学レベル?)
図のように直方体を斜めに半分にした形状の後輪駆動車がある。質量をM,車輪の質量は無視でき,密度は一様であるものとする。また,タイヤと路面の間の静止摩擦係数を \mu とし,前輪と路面との摩擦は無視できるものとする。重力加速度の大きさを g として次の各問いに答えよ。

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(1) エンジンの能力が十分であるとするとき,得られる最大加速度を求めよ。

(2) 最大加速を実現するとき,前輪が浮かないための \mu の条件を求めよ。

【解答】
(1)

図のように力の大きさをおく。最大加速度を得るためには,後輪における摩擦力は最大静止摩擦力でなければならない。
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水平方向の運動方程式は,最大加速度を a として

Ma = \mu N_1

鉛直方向は,つりあいが成立する。

N_1 + N_2 = Mg

また,重心まわりの力のモーメントのつりあいから, (※合力ゼロでないから,重心まわりでないとダメ)

N_1\left(\displaystyle\frac{L}{3}-l\right) = \mu N_1\left(\displaystyle\frac{H}{3}+h\right)+N_2\left(\displaystyle\frac{2L}{3}-l\right)

すぐ上の2式から N_1,N_2 を求めると,

N_1 = \displaystyle\frac{2L/3 - l}{L-2l-\mu(H/3+h)}\;Mg
N_2 = \displaystyle\frac{L/3-l-\mu(H/3+h)}{L-2l-\mu(H/3+h)}\;Mg

を得る。運動方程式に代入して最大加速度を求めると,

a = \displaystyle\frac{\mu N_1}{M} = \frac{2L/3-l}{L-2l-\mu(H/3+h)}\;\mu g

(2)

N_2\gt 0 により,

\mu \lt \displaystyle\frac{L/3-l}{H/3+h}

Algodooにおける設定は,L=3.0[m],l=0.50[m],H=1.0[m],h=0.25[m],\mu=0.60 である。ゼロヨン記録はほぼ理論値に一致した。また,静止摩擦係数が(2)の値を超えると,前輪が浮き始めることが確認できた。ただし,Algodooでは,静止摩擦係数は動摩擦係数に等しく,以上のシミュレーションで後輪はおそらくほとんどすべりっぱなしである。

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かなり乱暴なゴールインだが…

Algodoo のシーン
http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=206&file=Zero-yon2.phz

www.youtube.com

(初稿:2009/11/25)