電磁場の変換と荷電粒子の運動

2001年横浜国立大の入試問題に慣性系間の電磁場の変換が出題されていますが,同じかな?
※確認しましたが,ほとんどそのまんまですね。図も同じようです。
>http://okwave.jp/qa4767850.html


一様な電界と磁界がかかったxy平面上を運動する荷電粒子(質量m,電荷q  \gt 0)を考える。
xy平面上に静止している観測者Sから見た時、図1のように+y方向に強さEの電界と+z方向に磁束密度Bの磁界がそれぞれ一様にかかっているものとする。ただし、xy平面に垂直で紙面の裏から表に向かう方向を+z方向とする。
観測者Sに対して+x方向に一定の速さvで動いている観測者Mを考える(図2)。
観測者Mが測定する磁界は観測者Sが測定するものと同じで一様であり、+z方向に磁束密度Bの大きさをもつ。一方、磁界中を動いている観測者Mから見た電界は一様であるが、静止している観測者Sから見た電界と強さが異なる。
これは、磁界中を動いている座標系では起電力が生じているためである。
観測者Mの速さvは光速に比べて非常に小さいものとする。
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(1)E \neq 0,B \neq 0のとき、観測者Mから見て、荷電粒子は常に静止していた。このとき、観測者Mが電界の強さを測定すると0であった。

(a)観測者Sから見た時の力のつりあいを考えて、速さvEBを用いて表せ。

(2)E \neq 0,B \neq 0のとき、荷電粒子をxy平面上に(Sに対して)静かに置いた。観測者Mから見ると、その後、荷電粒子は等速円運動をし始めた。このとき観測者Mが測定する電界の強さは0なので、Mの速さvは前問(a)で決まる値と同じであることがわかる。

(b)観測者Mから見た時、荷電粒子が受けるローレンツ力の大きさはEに比例する。この比例定数を答えよ。

(c)この円運動の半径をm,q,B,Eのみを用いて答えよ。

(d)観測者Sが観測する荷電粒子の運動を簡潔に説明せよ。

この問題で解答では
(a)Mから見て、粒子は静止しているからローレンツ力は0である。したがってMから見ると、+y方向の電場Eに加えて-y方向の電場Eが生じて、さし引き電場も0になって粒子は静止している。これをSから見ると、粒子は+x方向に速さvで等速度運動をしている。
y方向の力のつりあいより、qE-Bqv=0 \quad \therefore v=E/B

※電磁場のローレンツ変換によると,
$$\boldsymbol{E}^\prime = \gamma(\boldsymbol{E}+\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B}) = \boldsymbol{0}$$
となるような速度\boldsymbol{v}ということになる。ただし,この変換は\boldsymbol{v}\cdot\boldsymbol{E}=0が前提である。
一般に任意の方向の電磁場の変換は,
$$\boldsymbol{E}^\prime = \gamma\left[\boldsymbol{E}+\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B}-\frac{\gamma}{\gamma+1}(\boldsymbol{\beta}\cdot\boldsymbol{E})\boldsymbol{\beta}\right]$$
$$\boldsymbol{B}^\prime = \gamma\left[\boldsymbol{B}-\boldsymbol{\beta}\times\boldsymbol{E}/c-\frac{\gamma}{\gamma+1}(\boldsymbol{\beta}\cdot\boldsymbol{B})\boldsymbol{\beta}\right]$$
となる。ただし,ここで
$$\boldsymbol{\beta}=\frac{\boldsymbol{v}}{c} \quad , \quad \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\beta^2}}$$
【参考】特殊相対性理論compact>http://homepage2.nifty.com/ysc/Rel.pdf (P.23)


(b)Mから見た等速円運動の速さはvだから、設問(e)を用いてBqv=Bq(E/B)=qE

(c)求める値をrとすると、円運動の運動方程式よりmv^2/r=Bqv \quad \therefore r=mE/B^2q

(d)Sから見ると、粒子の初速は0だから、はじめ電場によって+y方向に動き出す。その後、円の中心が+x方向に速さvの等速運動をし、その中心に対して粒子は速さvで時計回りの等速円運動をする。動き始めてから半周期後に、y方向の変位が最大になり、1周期後に、x軸上に戻って一瞬速度が0になる。以後、これらの運動を繰り返す。

※この運動の軌跡は,サイクロイドである。

(初稿:2009/03/07)