【問題】 長さ の軽い棒が4本回転軸で連結され、上下の回転軸に 、左右の回転軸に の電荷が固定されている。棒と電荷はなめらかな水平面上を自由に動くことができるとする。安定な平衡にあるときの角 を求めよ。
(1) 位置エネルギーの極小点を求める
系の位置エネルギー変化に寄与するのは、 どうし、 どうしの位置関係による分だけであるから、
で微分して
これを 0 とする において、
すなわち、
を得る。これが の極小点を与えることは明らかである。
(2) 仮想仕事の原理を使う
に対して無限小仮想変位 を考える。
仮想仕事の原理より、
整理すると、
すなわち、
を得る。
(3) 力のつりあいを使う
棒1本に着目して、力のモーメントのつりあいを考える。受ける力は、 どうし、 どうしの反発によって生じる力と、他の2本の棒から受ける張力である。この2つの張力は、大きさが等しく平行だから、棒の中点を軸とする力のモーメントが打ち消しあう。したがって、棒の中点を軸とする力のモーメントのつりあいは、
すなわち、
を得る。
こうして3つの方法を比べてみると、考え方は異なるが、数学的には全く同じであることにあらためて気づく。(1)で位置エネルギーの角変位に対する微分をとったが、これは力のモーメントに他ならないこと。また、「てこの原理」が「仕事の原理」と同値であることと同じように、力のモーメントのつりあいが「仮想仕事の原理」と同値であることに注目したい。
Algodoo によるシミュレーション()
空気抵抗を大きく設定して、減衰振動をさせて平衡位置を確保。