質量 、半径 の密度一様な円筒が、上部において力 で引かれて転がる運動を考察する。注目すべきは摩擦力の方向である。
摩擦力を と逆向きに とすると、重心の運動方程式は
重心まわりの回転の運動方程式は
すべることなく転がるとすると、 を考慮して を消去すれば、
より加速度を得る。問題は摩擦力 である。2つの運動方程式より、
したがって、
となる。つまり、摩擦力は進行方向となるのである。摩擦が少なくなると、先に回転が起こってすべる、ということにほかならない。
ちなみに、中心を力 で引くと、今度は
となり、これは当然ながら(回転方向のモーメントがなければならないから)進行逆方向となる。