ボビン・バランス

以前から,お気に入りの問題。ボビン(糸巻き)の糸を斜め上方に引くときのバランス。
【問題】
半径 r の円筒と半径 2r の円板から構成された質量 M のボビン(糸巻き)がある。円筒に巻きつけた糸を図のように斜め上方に適度の力で引くと,ボビンはある角度で安定して静止する。重力加速度の大きさを g とする。

(1) 安定する糸の角度を求めよ。

(2) 安定がすべることなく成立するための,ボビンと床の間の静止摩擦係数と糸の張力の関係を求めよ。

【解答】
(1)

図のようにおくと,ボビンが糸から受ける張力の作用線は,力のモーメントのつりあいに関する法則から,床との接点を通るべきである。したがって,明らかに \theta=60°である。

(2)

力のつりあいから,

\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}T+N = Mg\quad , \quad \frac{1}{2}T = F

すべらない条件は

F\lt\mu N

すなわち,

\displaystyle\frac{T}{2} \lt \mu\left(Mg-\frac{\sqrt{3}}{2}T\right) \qquad \therefore \mu \gt \frac{T}{2Mg-\sqrt{3}T}

Algodooは,糸(くさり)が苦手である。質量を無視できるほど小さくするとのびきってしまう。したがって,ある程度の質量を確保すると理論値からの差が出るのはやむを得ない。この点を割り引くと,まずまずといえる結果を得る。安定点まわりの微小振動がシミュレートされるが,以前解析してずいぶん煩雑だった記憶があり,今回は見合わせて高校レベルとした。

Algodoo シーン
http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=208&file=Balance.phz

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(初稿:2009/11/26)