電気双極子場 - 科学のおもちゃ箱@Hatena
で示したように、
電気双極子モーメント に対して十分に遠方の電位と電場は、
となる。同様に、磁気双極子モーメント に対して十分に遠方の磁位と磁場は、
となる。磁気双極子はよく知られているように微小円電流に等価である。
いままでちゃんと計算してみたことはなかったが、頑張ってみた。
磁気双極子モーメント を与えた上での磁位(磁気ポテンシャル)と磁場の導出は、電気双極子に同じだからここでは省略する。今回の主題は円電流が遠方につくる磁位と磁場が、磁気双極子と同じ形になることを確認し、モーメントの大きさ を半径 の円電流 で記述することである。
よく知られているように結果は
である。
最短なのは、アンペールの周回積分の法則と等価である「アンペールの等価磁石の法則」というものを用いて、円電流が遠方につくる磁位を導出し、磁気双極子と比較することである。
「閉回路を見込む立体角が であるような点Pに生じる磁位は、
で与えられる」
原点を中心とし、 平面上半径 の円電流 に対して十分遠方の位置Pから見込む立体角は、球座標で
と書けるから、
となる。これを
と比較すれば、
を得る。これではあまりにカンニング頼みだが、さりとてここで等価磁石の法則を証明する気力も起きない。初歩的でなるべくエレガントに、を目標にすればビオ・サバールの法則から何とか計算を工夫するのみである。
ビオ・サバールの法則による微小円電流の磁場導出
図により
ここからが厳しい道のりである。コツは で積分するにあたって、 および の項は0となって消えるので、被積分関数の中で消去してよい、ということである。たとえば、 を含む項の中で や のみの項は消え失せる。
ちょっと目標に近づいた感じ。ここからベクトル表記のままエレガントに突き進みたいところだが、なかなかよいアイディアは浮かばなかった。やむなくデカルト座標で成分計算に踏み込む。
途中、
等を用いて、積分によって消える項を落としている。
これを適用すると
を得る。磁気双極子モーメントは比較により
となる。