電気双極子場

「物理のかぎしっぽ数式掲示板」というややハイレベルなQ&A掲示板がかつてあった。そこに次の質問が寄せられた。
「問題」
電気双極子:微小区間dで並ぶ点電荷q-qの組。これはイオン結合性分子など分子の分極を表すモデルに使われる。
双極子モーメント:\boldsymbol{P}=q\boldsymbol{d}に比べて十分に遠方の点Pでの電位\phi(\boldsymbol{r})を求めなさい。
※答えは
\phi(\boldsymbol{r})=\displaystyle\frac{\boldsymbol{P}\cdot\boldsymbol{r}}{4\pi\varepsilon_0r^3}
になるそうです。
次に電場を求めなさい。
※答えは
\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})=\displaystyle\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\left(-\frac{\boldsymbol{P}}{r^3}+\frac{3(\boldsymbol{P}\cdot\boldsymbol{r})\boldsymbol{r}}{r^5}\right)
になるそうです。

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動く光源はなぜ斜めに光を出すのか?

かつて私も疑問に思いながら,深く考えることなく未解決のまま忘れていたものである。
Yahoo!知恵袋>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail.php?qid=1142338881から。

再掲にあたっての注釈
光に「慣性の法則」は適用できない、というような観点からこうした議論が誤りであるかのような声がネット上でたまに見られる。今まで、そうした批判の意図するところがよくわからなかったが、最近何となくわかってきた。慣性の法則の土台となっているのが相対性原理であるが、光に対する相対性原理の適用に対して、「慣性=運動状態を変えようとする力への抵抗、すなわち質量」を対象とする古典的な「慣性の法則」の解釈にとどまって「光に慣性はないはずだ」と批判しているわけだ。もちろん、相対性理論の基礎をなす相対性原理は、古典的解釈による「慣性」=質量のみを対象としたものであるはずがない。座標系の相対性の表明にこそ、その意義があることはいまさらいうまでもない。(2018/11/13 記)

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球座標(3次元極座標)における簡明な微分導出

スケール因子だの、回転変換だの…とややこしさ満載の球座標のベクトル解析。過去においてもいろいろと考えてきたが、これまで「カンニング」なしで自力でたとえばラプラシアンの表式を導出する、といったことにはとても自信が持てなかった。しかし、よくよく考えてみると、そのややこしさはほとんどが可動基底の微分に端を発している。こいつを何とか突破すれば、あとはシステマティックに片づけることができそうだ。

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