阪大'06(後期)入試問題より。左右両側から2本のばねに引かれた質点の2次元の振動。
【問題】
なめらかな水平面に質量 の小球を置き,自然長 ,ばね定数 の2本の軽いばね,ばね1およびばね2につないでその両端を座標 に固定した。ただし, とする。以下では, がともに に比べて十分小さい場合で, について一次の項までをとる近似を考える。たとえば小球が にあるとき,ばね1,2の長さ に対して次の近似が成り立つことを用いてよい。
(1) 小球が にあるとき,ばね1とばね2から受ける合力の, 成分と 成分をそれぞれ求めよ。
(2) 時刻 に,点 から静かに小球を放す。運動方程式によれば,この後の小球の 方向, 方向の運動は,それぞれ振幅 の独立な単振動であることがわかる。時刻 における位置座標 を与える式を示せ。
(3) である場合に,(2)の式から を消去して得られる軌跡を表す方程式をつくり,軌跡の概略を描け。
※ Algodoo の設定は, である。
Algodoo シーンのダウンロード
https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=307&file=Osaka06-kouki.phz
【解答】
(1)
ばね1,2の自然長からの伸びを とおくと,
となる。したがって,ばね1,2から受ける力を とおくと,
となるから,合力の成分 すなわち
を得る。
(2)
(1)の結果を用いると,加速度を として小球の運動方程式は
となる。したがって,時刻 における位置は
となる。
(3)
(2) の結果に, を代入すると,
を得る。
下は, が小さくない場合。近似からのずれが無視できなくなる。
(初稿:2010/01/06)