加速度が力に比例するのはなぜか?

運動方程式で、その物体に加わる外からの力と加速度が繋がってる理由って、絶対に説明不可能なのでしょうか?」
どの参考書や講義などでも運動方程式は成り立つものと仮定して全ての話が展開されていくことに疑問を持った、おマセな受験生の質問である(知恵袋)。別に「加加速度」が力に比例してもいいじゃないか、そうなっていないという確証はどこにあるのか、と悩みを深めているのである。

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力のみつけ方

 力は、あくまで着目している物体の未来予測のためにみつける。では、どのようにみつけたら過不足なくみつけることができるだろうか。

 まず、力は大別して2種類あることに注意しよう。
①遠隔力=相手が離れていても受ける力
接触力=相手がくっついていることによって受ける力
である。

 遠隔力は初歩的には、重力・電気力・磁力の3つ。いずれも相手がくっついていても、離れていても受ける力である。力学のほとんどの場面で、一様重力 mg を考える。だから、これを真っ先にみつけよう。力と言えば「まずは重力」、「重力と言ったら mg 」である。

 接触力はさらに大別して3つある。
(1) 垂直抗力=相手から接触面において垂直に押される力
(2) 張力=相手から接触点において引かれる力
(3) 摩擦力=相手から接触面に平行に「こすられる向きの」力
押してもダメなら引いてみな、引いてもダメなら…というわけだ。

 多くの場合、接触面において(1)と(3)は同時に作用するひとつの力とみることができる。接触しているために互いに受け合う力で、相手も原因も同じだから本来ひとつの力なのだ。これを「抗力」という。多くの場合抗力は垂直抗力と摩擦力とに分解して考察する。その方が便利な場合が多いからである。しかし、もともと抗力はあくまでひとつの力なのであり、垂直抗力と摩擦力に分けるのはあくまで便宜的な操作に過ぎない。したがって、分解するときに垂直抗力と摩擦力の作用点は必ず一致させるべきである。

 斜面上におかれた物体が静止しているとき、物体が受ける力がつりあっている。これをあえて
A:重力
B:垂直抗力
C:摩擦力
の3力のつりあいとする場面が多くみられる。しかし、BとCはあくまで重力と逆向きに真上に作用する抗力を分解しただけのことであり、つりあいを考えるためだけならば分解する必要もないのだ。

さて、整理しよう。力をみつけるには、
(i) まずは重力(遠隔力)をみつけよう
(ii) あとはくっついている相手をさがせばよい。くっついている相手からは必ず接触力を受けていると考えよう。

力をなぜみつけるのか?

 力学の第一歩において、「力をみつける」練習をする。初学者にとっては力学の最初の壁と言える。いろんなかんちがいが力の発見にともない、必要数の力がなかなかみつけられない。

 その理由の一つは、目的が意識されていないことにあると思う。なぜ力をみつけるのかという目的があいまいなままに、見つけること自体が自己目的化してしまうと、不要な力が見えてしまったり、必要な力を見落としてしまったりしがちだ。

 ずばり、力をなぜみつけるのか? その目的は着目物体の未来予測にある。物体の状態や運動が、受ける力に支配されることでその未来が決まるのだ。このことをしっかり意識できれば、力をみつける作業はそれほど難しいことではなくなると思う。着目している物体の今後を考えたいのだ。

 たとえば、糸でつられたおもりが受ける力をみつけるとする。目的はおもりの未来である。そのとき、目的を意識しないと天井が糸から引かれる張力をみつけてしまったりする。その張力は天井が受けるのだから天井の未来を考えるなら必要だが、おもりの未来を考える上では何の関係もない力なのだ。おもりが受ける力は2つ。地球から引かれる重力と、糸から引かれる張力である。この2つがつりあっていれば、おもりは静止を続けるという未来が予測される。

 みつけるべき力は、着目物体=主人公が「受ける」力である。したがって、力はつねに「受ける」と表現したい。主体を入れ替えた「およぼす」といった表現を避けることで、その目的ははっきり意識されるだろう。

 りんごの未来を考えるとき、みかんが受ける力を見てはいけないのだ。

電源をはさんだ電気量保存は成立しない?

今年の早稲田の入試問題だそうだ。
起電力 V の直流電源をつないだまま、平行板コンデンサーA-Bの中央に1/3の厚さの導体板Cを挿入し、その上で導体板に電荷 Q を与えたとき、極板Aの電気量はどれだけになるか、という問題。知恵袋に同じ内容で2件の質問が投稿された。

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おわんとおはし問題の瞬間中心

以前とりあげたことのある「おわんとおはしの問題」。
おわんからはみだしたおはしが摩擦なく振動する問題であったが、「知恵袋」でおはしの瞬間中心はどこか? という質問に出会った。

おわんとおはしの問題 - 科学のおもちゃ箱@Hatena

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重心運動と相対運動の分離

相対運動と換算質量 - 科学のおもちゃ箱@Hatena
において、重心運動と相対運動への分離の一般論をまとめたが、初歩的な例を考察する。

質量 M,m の2質点をばね定数 k のばねの両端につなぎ、質量 m の質点をつまんで、質量 M の質点を下にして鉛直にぶらさげてつりあい静止させたのちにぱっと放して落下させたときの運動を考える。

Algodooシーンのダウンロード
https://img.atwiki.jp/yokkun/attach/1/1520/bane-mass-kei-no-rakka.phz

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箱詰めされた球のつりあい

なめらかな箱への球の積み上げ問題。箱の奥行きはちょうど球の直径に等しいとする。4個入ったものは初めて見たかもしれない。すべてのつりあいを立式して連立すれば力は決定する。結果のみ示しておこう。