「物理のかぎしっぽ掲示板」から。磁場が角速度ベクトルと直結する軸性ベクトルであることを象徴するような議論。
一様磁場中の荷電粒子の運動は,磁場方向への等速運動とそれに垂直な面内の等速円運動の合成となる。特に初速度が磁場に垂直であれば,単に等速円運動となる。これはローレンツ力が速度に常に垂直であることから,ほとんど自明といえる。なぜなら,速度に垂直な力は仕事をしないから等速運動になり,ローレンツ力が円運動の向心力となるべきことが必然だからである。
もちろん運動方程式を解けば,垂直面内の等速円運動が導出される。簡単のため,
すなわち,磁場方向の初速度成分をゼロとして等速円運動を導出しよう。運動方程式は,
であるから,磁場を軸方向にとり成分に分ければ,
両者からを消去すれば,
と単振動の微分方程式を得,についても同様の式が得られるから,それらを解けば
なる角速度をもつ等速円運動となることが容易に確認できる。
これを成分分解せず,ベクトルのまま記述して等速円運動を導出しようというのが議論の本題である。
だから,
とおけば,
となる。これを積分すると,添字0を初期条件として
となるが, 方向の初速成分をゼロ()とすれば,原点を適当に移して,
とすることができる。その結果として,
を得る。この微分方程式が等速円運動を表すことはほとんど自明ではあるが,これを用いて
より,
を得る。これは質点の運動が に垂直な面内に限られることを示す。同様に,(1)の両辺に をかければ(内積をとれば),
すなわち,
を得る。(2)(3)により,質点の軌道が円であることが示された。
さらに,
より,
以上より,質点の運動が等速円運動であることが示された。軌道方程式をベクトルで記述することが可能だが,これは下記を参照されたい。
参考:
http://hooktail.maxwell.jp/bbslog/19703.html
(初稿:2012/02/02)