遠心力振り子

一定の角速度 \omega で中心を通る鉛直軸周りに回転する半径 r の水平円板がある。長さ l の棒の先に質量 m の質点がついた振り子が、円周上の1点に軸固定されて棒が半径方向に一致した状態でともに回転しているとする。棒が半径方向から微小角 \theta の変位をするときの運動を考察する。

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円板の中心を原点とする直交座標をとれば、質点の座標は

x = r\cos\omega t + l\cos(\omega t+\theta)\\
y = r\sin\omega t + l\sin(\omega t+\theta)

となる。これを時間微分して運動方程式

m\ddot{x} = - T\cos(\omega t+\theta)\\
m\ddot{y} = - T\sin(\omega t+\theta)

から張力 T を消去すれば長い道のりを経て接線方向の運動方程式

ml\ddot{\theta} = - mr\omega^2\sin\theta

を得る。

回転系+極座標で考えても、やはり長い道のりになる。しかし、初めから支点とともに円運動する並進系で考察すると、きわめて簡明になる。角速度 \omega の回転系ではない点に注意。図の四角を支点とともに「姿勢を変えずに」円運動する実験室と考える。実験室内ではどこでも遠心力 mr\omega^2 を受けることがポイント。実験室内の任意の位置は同じ半径 r で円運動しているからである。同様の考察は潮汐力における公転遠心力の評価に用いられる。

質点の接線方向の運動方程式

ml\ddot{\theta} = - mr\omega^2\sin\theta

を直ちに得る。微小振動の角振動数は

\Omega = \omega\sqrt{\displaystyle\frac{r}{l}}

となる。

【追記 2023/03/09】
Q&Aサイトに投げかけられた質問から、こんなところでも公転並進系を用いていることに気づかされた。
yokkun831.hatenablog.com

【追記 2023/03/10】
並進系において振り子の角速度は \omega+\dot{\theta} であるから、動径方向の運動方程式

ml(\omega+\dot{\theta})^2 = T - mr\omega^2\cos\theta

となる。T は棒の張力である。