壁からの最大飛距離を得る投射位置

知恵袋から拾った問題。決められた初速 v_0 でボールを投げ、高さ h の壁を越えて壁から最も遠くへ着地させるには、投射位置をどこにとればいいか。ただし、重力加速度の大きさを g とする。

きわめてシンプルな問題だが、正直のところけっこう手間取った。

考察のポイントは次のとおりである。

投射位置をある点に定めて、壁をぎりぎりで越える投射角の小さい方が45°より小さいとき、投射角を45°にすればもっと飛ぶ。したがって、初速 v_0 が条件を満たす十分な大きさであれば、さらに前進して投射角45°でぎりぎり壁を越すような位置が目的の位置となる。

初速 v_0 が小さく、45°の投射で壁をこえられない場合は、放物線軌道の最高点でぎりぎり壁を越すような位置を選べばよいことになる。

…と回答すると、すぐさまするどい指摘。

「45°の投射から少しだけ前進し、ぎりぎり壁を越すように投射したとき、壁からの飛距離はより大きくはなりませんか?」

いやいや、仰せのとおり。正しくは…
yokkun831.hatenablog.com
こちらの最大飛距離のときの初期条件を地上投射にひきもどせばよいわけだ。

軌道方程式
y = x\tan\theta - \displaystyle\frac{gx^2}{2{v_0}^2\cos^2\theta}
高さ h からの最大飛距離は上のページの議論から
L = L_0\sqrt{1+\displaystyle\frac{2h}{L_0}}
ただし、エネルギー保存から明らかなように
L_0 = \displaystyle\frac{{v_0}^2}{g} - 2h
となる。

対称性から軌道は (L,h) を通過すべきだから、
h = L\tan\theta - \displaystyle\frac{L^2}{2(L_0+2h)\cos^2\theta}
\theta について解くと
\theta = \displaystyle\frac{1}{2}\Big\{\sin^{-1}\frac{L^2+(L_0+2h)h}{(L_0+2h)\sqrt{L^2+h^2}}+\tan^{-1}\frac{h}{L}\Big\}
を得る。

壁から投射位置までの距離は、
d = \displaystyle\frac{{v_0}^2}{g}\sin{2\theta} - L
より得られる。

シミュレーションの条件では、確かに48.5° という投射角で(壁からはかった)最大飛距離が得られた。

f:id:yokkun831:20200806132715p:plain