浮力による永久機関

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1285278052について考察を加えていたところ,副産物として半円の重心が導かれた,という話。


水平軸まわりに回転できる円筒のちょうど半分が,水を満たした水槽の側壁から外部に出ている。半円筒の浮心は軸より中に偏っているから,浮力は常に円筒を回転させるモーメントを持ち,円筒は回転し続けるだろうという「永久機関」。

http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=569&file=Eikyu.bmp



参考:
http://www.kdcnet.ac.jp/college/buturi/kougi/buturiko/heat/heat2/perp1.htm
http://homepage3.nifty.com/iromono/kougi/ningen/node43.html
http://www.kdcnet.ac.jp/college/buturi/kougi/buturiko/heat/heat2/perp1r.htm
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1085093625
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1285278052

水圧は円筒面に垂直だから軸まわりのモーメントを生じることはありえない。すなわち,水圧の合力は軸を通ることになるわけである。浮力の作用点としていわゆる「浮心」=半円筒の重心を持ち込むのは,陥りやすい誤りといえよう。半円筒の重心を作用点とするためには,その切断面にも水圧がかかっていなければならないのである。

うまい説明がないか考えていたところ,副産物として半円の重心位置が転がり出た。

半円筒に生じる浮力は,

\rho gw \times \displaystyle\frac{1}{2}\pi r^2

ただし,\rho:水の密度,g:重力加速度の大きさ,r:円筒の半径,w:円筒の幅 である。

ところが,今考察している円筒の切断面にかかる水圧はないのだから,円筒が受ける力のモーメントは「浮心」を作用点とする浮力のモーメントから,切断面で受ける水圧の分を差し引かねばならない。その結果がゼロというわけだ。切断面で受ける水圧があったとして,その力のモーメントの大きさは

\int_0^{2r}\rho gwz\times(z-r) dz = \displaystyle\frac{2}{3}\rho gwr^3

である。ここで,半円筒の重心位置を軸からdの距離とすると,

\rho gw\displaystyle\frac{1}{2}\pi r^2\times d - \frac{2}{3}\rho gwr^3 = 0

\therefore d = \displaystyle\frac{4r}{3\pi}

を得る。