オリジナル問題。通常は相対速度を一定とする設定が普通だが,そうでない場合の発展的な問題。小球を落下によって水平に投げ出して加速する台車。
【問題】
総質量 の台車が,高さ のタンクから1秒に1個ずつ落下してレールをすべりおりた質量 の小球を水平後方に投げ出して初速ゼロから加速していく。重力加速度の大きさを とし,車輪の質量および摩擦や抵抗は無視できるものとする。また,小球の投げ出しが終わるまで次の小球は落下しない。
(1) 台車が小球を投げ出す相対速さ が一定であるものとして,台車の質量が のときから1個投げ出して になったときの台車の速さの変化 を求めよ。
(2) 厳密には,(1)は正しくない。 が一定であることは前提とせずに,同様に質量 から になったときの台車の速さの変化 を求めよ。
※ Algodooの設定は,[kg],[kg],[m] である。
Algodoo シーンのダウンロード
https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=254&file=GP-car.phz
【解答】小球を投げ出して走る台車
(1)
小球が落ちる前の台車の速さを とすると,運動量保存により
(2)
小球が投げ出される速さを ,そのときの台車の速さを として,運動量保存により
また,エネルギー保存により
両式から を消去して整理すると,
を得る。
(2)の結果において, および, を考慮すると,(1)の結果に一致する。
ちなみに, 秒後の台車の速さは,(1) の場合
また, を考慮し, をガスの一様な噴出とするとき,(1)は
となって,「ツィオルコフスキーのロケット方程式」に一致する。
(2)の場合 秒後の速さは,
となる。上の3つの は, の近似において一致し,下図のような変化となる。
(初稿:2009/12/15)