浮力による位置エネルギー2

下記で浮力による位置エネルギーについて考察した。
浮力による位置エネルギー - 科学のおもちゃ箱@Hatena

今回見つけた浮体の単振動および等加速度による浮上について考察させる問題の最後に、次のような小問があった。

【問題】
長さ l、断面積 S で質量 m の円柱状の浮体が、軸を鉛直方向として水面に顔を出して十分に大きな水槽に浮いている。浮体の上面を深さ l まで押し下げて放すと、浮体は軸を鉛直に保ったまま浮き上がるとする。このとき、全体が水中から飛び出さないための限界質量 m を求めよ。ただし、水の密度を \rho、重力加速度の大きさを g とし、水や空気との摩擦や抵抗は無視できるものとする。

上面が水面に達するまでは等加速度運動、その後飛び出すまでは単振動となる。そこで、途中まで浮力の仕事(浮力による位置エネルギー)、後半を単振動のエネルギー保存で解くこともできる。しかし、浮力の位置エネルギーというのは、結果的に浮体によって押しのけられた水が水面の高さに持ち上がっていることによる、重力による位置エネルギーに他ならないことを考えれば、この問題はずっと簡単に解ける。

浮体の上端が深さ l にあるとき、浮体の占める空間にあったはずの水の重心は、深さ \displaystyle\frac{3}{2}l であるから、浮体と水の系の力学的エネルギー保存により限界質量 m に対して

\rho Slg\cdot \displaystyle\frac{3}{2}l = mg\cdot 2l

したがって、

m = \displaystyle\frac{3}{4}\rho Sl

を得る。