ループコースター

【問題】

鉛直面内にある半径 r の円周の内側がなめらかなレールになっており,小球が摩擦なく運動できるようになっている。今,小球に最下点である初速を与え,ループを上昇していくとする。重力加速度の大きさを g とする。

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(1) 小球がレールを離れることなくループを回って一周するのに必要な初速の下限を求めよ。

(2) 小球が上昇途中でループを離れ,放物運動に移行してちょうどループの中心を通るための初速を求めよ。

※ シミュレーションでは,小球がループの中心に達すると,そこに置いた水平面に無摩擦弾性衝突をして,左右対称の軌道を描いてループ上にもどる設定になっている。

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https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=198&file=Loop.phz

【解答】ループコースター

小球の質量を m,最下点での初速を v_0 とする。

(1)

v_0 の下限は,最上点でレールからの抗力をゼロとすることで得られる。このとき,最上点での速さを v として,半径方向の運動方程式

\displaystyle\frac{mv^2}{r} = mg \qquad \therefore v^2 = gr

エネルギー保存により,

\displaystyle\frac{1}{2}mv_0\;^2 = \frac{1}{2}mv^2 + 2mgr

\therefore v_0 = \sqrt{v^2 + 4gr} = \sqrt{5gr}

(2)

ループを離れる位置の鉛直上方からの角度を \theta,そのときの速さを v とおく。

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半径方向の運動方程式において,抗力をゼロとすれば

\displaystyle\frac{mv^2}{r} = mg\cos\theta\qquad \therefore v^2=gr\cos\theta

エネルギー保存により,

\displaystyle\frac{1}{2}mv_0\;^2 = \frac{1}{2}mv^2 + mgr(1+\cos\theta)

両式から v を消去して,

v_0 = \sqrt{(2+3\cos\theta)gr}

ループを離れてから 時間 t の後にループの中心を通るものとすると,

v\cos\theta\cdot t = r\sin\theta
v\sin\theta\cdot t - \displaystyle\frac{1}{2}gt^2 = -r\cos\theta

両式から t を消去して v^2=gr\cos\theta を用いると

\cos\theta = \displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}

を得る。これを v_0 の式に代入して,

\therefore v_0 = \sqrt{(2+\sqrt{3})gr}

\cos\thetaを求める段は図形的解法が簡便である。>
鉛直面内円運動から放物運動への移行 - 科学のおもちゃ箱@Hatena


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(初稿:2009/11/22)