下記で考察した静電エネルギーの3つの計算について、それらが当然ながら同値であることを考察の焦点として整理する。
静電エネルギーの3つの計算 - 科学のおもちゃ箱@Hatena
【問題】
一様電荷密度 をもつ半径 の球の静電エネルギーを求める。
1.無限遠から集める仕事
最も初歩的で簡明な計算。無限遠から電荷を集めて最終半径 まで太らせる仕事を計算すれば、それが最終状態の静電エネルギーにほかならない。
半径 まで集めた状態から、半径 を付け加えるときの仕事は
を得る。
2.微小要素の位置エネルギーの直接積分
個の点電荷 を位置 に配置した系があるとき、系の静電エネルギーは
となる。1/2 はダブルカウントを除く処理である。
これを今回の目的に適用し、点電荷を連続分布に置き換えれば、
となる。ここで は1で出てきた とは異なり、完成した一様電荷球が位置 につくる電位
である。積分を実行して
を得る。
1との比較で、一見異なる計算に見えるが、よく考えると同じことをしている。球対称の電荷分布では、より外側にある球殻は内部に電場をつくらないから、1の計算も実は完成した一様電荷球を球殻に分割して、それぞれの球殻電荷が他の部分がつくる電位によってもつ位置エネルギーを加算していることになる。