保存力の条件

ある力が保存力である条件は,力のベクトル場の回転がゼロであること。


保存力=その力が物体になす
   「仕事が,物体の始点と終点だけで決まり,移動の経路によらない」
    ような力。

この条件はすなわち,

保存力=「任意の閉回路 C に対して,仕事がゼロ」

とも表現できる。なぜならば,閉回路 CC_1C_2 の2つに分割すると,

W = \displaystyle\int_{C} F\cdot dr = \int_{C_1} F\cdot dr + \int_{C_2} F\cdot dr = \int_{C_1} F\cdot dr - \int_{-C_2} F\cdot dr = 0

ここで経路 -C_2C_2 の逆経路を意味し,C_1 と始点・終点を同じくする別経路と見ることができる。

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     閉回路 C (ABA)を C_1 (AB)と C_2 (BA)に分ける。

ストークスの定理により,閉回路 C およびそれを境界とする面領域 S において

   \displaystyle\int_{C=\partial S} F\cdot dr = \int_S \nabla\times F \cdot dS

左辺が任意の閉回路でゼロであるためには,

\nabla\times F = 0

となることが必要十分である。また,この条件は

F = -\nabla \phi

となるポテンシャルエネルギー \phi の存在を保証する。
(初稿:2016/04/18)