剛体のつりあいの図形的解法

剛体のつりあいとは力のベクトルの関係だからもとより「図形的」だが、つりあいの方程式を立式することなく作図だけですませてしまおう、という試みに最適の例題。

【問題】
質量 m、長さl の一様な棒ABがA端を軽い糸でつられており、B端は水平に引かれている。糸が鉛直方向と30°の角度をもって図のように静止しているとき、糸の張力 T、水平に引かれる力 F、棒の水平方向からの角度 \theta として \tan\theta を答えよ。ただし、重力加速度の大きさは g とせよ。

【解答】
下図がそのまま、ほとんど解答になっている。

剛体がつりあっているとき、受ける力の作用線が1点に交わるような組み合わせが可能である(平行な力の組み合わせがあるときはちょっとした工夫が必要)。剛体において受ける力は作用線上移動させてもその影響は変わらないから、始点をすべてDに集め、ついでに F,T の終点はA,Bに一致させてしまおう。

F = mg\tan30° = mg/\sqrt{3}
T = mg/\cos30° = 2mg/\sqrt{3}

が直ちに得られる。

T,F を2辺とする平行四辺形を描くと、対角線のひとつはABになり、もうひとつは mg の作用線になる。平行四辺形の2つの対角線は互いに中点で交わるから、
\tan\theta = {\rm GD/BD} = \tan60°/2 = \sqrt{3}/2
となる。