テーブルから落ちるひも

前問のより基礎的な類題。

【問題】

線密度 \lambda ,全長 L のひもの一端がなめらかなテーブルの端から a だけ垂れ下がった状態で他端で押さえられている。押さえている手を放したら,ひもは落ち始めた。重力加速度の大きさを g とする。

(1) ひも全体ががテーブルを離れるときの速さを求めよ(高校レベル)。
(2) 運動方程式を解いてひも全体がテーブルを離れるまでの x=x(t) を求めよ(大学レベル)。

f:id:yokkun831:20201106103532p:plain

>Algodooシーン
https://img.atwikiimg.com/www14.atwiki.jp/yokkun/attach/252/1481/table-karano-himo-no-rakka.phz

【解答】

(1)
垂れ下がっている長さ x のとき、ひもの速さを v とすると、力学的エネルギー保存により
\displaystyle\frac{1}{2}\lambda Lv^2 - \lambda x g \cdot \frac{x}{2} = -\lambda a g \cdot \frac{a}{2}
x=L のときの v を求めればよいから
v=\sqrt{\displaystyle\frac{g}{L} (L^2 - a^2)}

(2)
運動方程式
\lambda L \ddot{x} = \lambda g x
x=e^{\gamma t} を仮定して代入すれば
\gamma = \pm \sqrt{\displaystyle\frac{g}{L}}
一般解は
x = C_1 \exp\left(\sqrt{\displaystyle\frac{g}{L}}\cdot t\right) + C_2 \exp\left({-\sqrt{\displaystyle\frac{g}{L}} \cdot t}\right)
初期条件 x(0)=a, \quad \dot{x}(0)=0 を考慮すれば
x = a \cosh\left(\sqrt{\displaystyle\frac{g}{L}}\cdot t\right)
を得る。
f:id:yokkun831:20201106113206p:plain
f:id:yokkun831:20201106113222p:plain
Algodooによるシミュレーションは、現実には避けられない角での遠心力の効果などがあり、上述した単純化した理論に対する再現性は厳しい。
(初稿:2020/11/06)