ゴムひもでつられた質点の振動

自然長 2l のゴムひもの中央に質量 m の質点をつけ、両端を 2l 離して同じ高さに固定すると、左右が 2l に伸びてつりあったとする。ゴムひもにばね定数一定の理想化を課して、質点の上下微小振動の周期を求める。

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つり合い位置を原点とし、鉛直下向きに x 軸をとる。変位は十分小さく、x\ll l を前提として近似をするのはよいのだが、これがなかなか難物である。

ゴムひも半分のばね定数を k とすると、つりあいにより

2kl\times\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2} = mg

したがって、

k=\displaystyle\frac{mg}{\sqrt{3}l}

変位 x のとき、一方のゴムの伸びは

\sqrt{(\sqrt{3}l+x)^2+l^2}-l \simeq l+\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}x

だから、2本の合力は

2k\left(l+\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}x\right)\times\displaystyle\frac{\sqrt{3}l+x}{2l+\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}x}\\
\simeq 2k\displaystyle\frac{l^2}{2l}\left(1+\frac{\sqrt{3}x}{2l}\right)\left(\sqrt{3}+\frac{x}{l}\right)\left(1-\frac{\sqrt{3}x}{4l}\right)\\
= k\left(\displaystyle\frac{7}{4}x + O(x^2)+{\rm const.}\right)\\
\simeq \displaystyle\frac{7mg}{4\sqrt{3}l}\cdot x+{\rm const.}

となる。

したがって求める周期

T = 2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{4\sqrt{3}l}{7g}}

を得る。

この結果を得るのに難儀していた折、Algodooによってシミュレーションをすることによって長さ l の単振り子の周期

T = 2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{l}{g}}

とほとんど一致することを発見した。そこで計算結果もそうなるのではないかと思い込み、それを目標として計算を進めたが、無駄骨であった。

4\sqrt{3}/7 \simeq 0.99 であるため、すっかり騙された、というわけである。

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