宇宙船のスピン低減装置

剛体の回転・角運動量保存

「ファインマン物理学」演習より改題。スピンする宇宙船からおもりを放って回転を止める。（大学レベル）

【問題】

半径 R，質量 M の一様な円筒形状の宇宙船が，中心軸まわりに角速度 \omega で回転している。二つの小さなおもりが長さ L の軽いひもにつながれて，宇宙船をまくように縁にとめてある。この二つのおもりを同時に自由にすると，しだいに縁を離れてひもが半径方向を向いたときにフックがはずれて放たれる。これによって，宇宙船のスピンを止めるために必要なおもりの質量を求めよ。この装置は宇宙船のスピン低減に実際に使われたことがあるらしい。

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※ Algodoo の設定は，M=1000 kg , R=30 m , L=70 m である。リターンキー（Enter）でおもりが放たれる。

Algodoo シーンのダウンロード＞
https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=310&file=FM19-7-Spin-teigen.phz

【解答】

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求める質量を m，放たれる瞬間のおもりの速さを v とすると，角運動量保存により

\left(\displaystyle\frac{1}{2}MR^2 + 2mR^2\right)\;\omega = 2mv\;(R+L)

また，エネルギー保存により

\displaystyle\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}MR^2 + 2mR^2\right)\omega^2 = 2\times \frac{1}{2}mv^2

両式より \omega , v を消去して m について解くと，

m = \displaystyle\frac{R^2}{4L(L+2R)}\;M

を得る。

youtu.be


（初稿：2010/01/07）