理想気体の内部エネルギー

{\it\Delta}U=C_v{\it\Delta}T の式は,定積変化でなくても使えるのか?という熱力学のFAQ。

定積変化を考えて,熱力学第1法則により

C_v = \displaystyle\frac{Q}{n{\it\Delta}T} = \frac{{\it\Delta}U}{n{\it\Delta}T}

\therefore {\it\Delta}U = nC_v{\it\Delta}T

一般に理想気体において,これが成立する。

定積変化を考えたのは,C_v を用いて内部エネルギーと温度の関係を導くためだけであり,理想気体では C_v=一定で内部エネルギーが絶対温度に比例することがわかっているため,

{\it\Delta}U = nC_v{\it\Delta}T

は,結果的に,定積変化にかかわらずどんな場合にも,理想気体の内部エネルギー変化と温度変化とをつなぐ関係式として使えるわけである。さらにいえば,

U = nC_vT

がただちに示されることになる。

整理すると,

(1)理想気体の内部エネルギーは絶対温度のみの関数で,絶対温度に比例する。
(2)熱力学第1法則を定積変化に適用すると,{\it\Delta}U=nC_v{\it\Delta}T の関係が導かれる。
(3)理想気体では C_v=一定だから,(1)を考慮すると(2)の関係,さらに

U = nC_vT

がつねに成り立つ。

そして,分子運動論の結論として単原子分子に対して

C_v = \displaystyle\frac{3}{2}R

が導かれるというわけだ。

(初稿:2011/02/21)