水平ばね振り子三態

① 摩擦なくすべるばね振り子
② 円筒がすべらず転がるばね振り子
③ ②でばねが上端についている場合

Q&Aサイトで③の固有振動数は①と比べてどうなるか、という問題に出会った。回転の慣性が関与するので直感的に小さくなると思ったが、それが言えるのは②の場合である。③の場合には結果的に復元力が4倍に相当することになり、固有振動数は①よりも大きくなる。

① 摩擦なくすべるばね振り子

通常のばね-質点系である。運動方程式

m\ddot{x} = - kx

となり、角振動数

\omega = \sqrt{\displaystyle\frac{k}{m}}

を得る。

② 円筒がすべらず転がるばね振り子

回転の慣性が余分に付け加わるため、固有振動数は小さくなる。

重心の運動方程式

m\ddot{x} = f - kx

重心周りの回転の運動方程式

I\ddot{\theta} = - fr

f は摩擦力、r は円筒の半径である。

束縛条件
\ddot{x} = r\ddot{\theta}
を考慮すると

\left(m+\displaystyle\frac{I}{r^2}\right)\ddot{x} = - kx

となり、

\omega = \sqrt{\displaystyle\frac{k}{m+I/r^2}}

を得る。

③ ②でばねが上端についている場合

重心の運動方程式

m\ddot{x} = f - 2kx

重心周りの回転の運動方程式

I\ddot{\theta} = - (f + 2kx)r

束縛条件を考慮して

\left(m+\displaystyle\frac{I}{r^2}\right)\ddot{x} = - 4kx

となり、

\omega = \sqrt{\displaystyle\frac{4k}{m+I/r^2}}

を得る。

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