久しぶりに,「目からウロコ」の教育的示唆に富む問題に出会った。 の累乗に比例する中心引力下で質点が円運動をするとき,そのまわりの微小振動に関する問題。
【問題】
質量 の粒子が,中心力ポテンシャル
の下で原点を中心とする半径 の円軌道を描いて運動している。ただし は正の定数, は かつ を満たす定数である。
(1) このときの粒子のエネルギー,角運動量,運動の周期を求めよ。
(2) この円運動のまわりで半径方向に微小運動を行うときの振動数を求めよ。また,この微小振動が存在するときの軌道の略図を のそれぞれの場合について描け。
【解答】
(1)
中心力は,
速さを として,円運動の方程式は
したがって,
運動エネルギー:
全力学的エネルギー:
角運動量:
周期:
となる。
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(2)について
角運動量保存により,
すると,全力学的エネルギーは
ここで, として とおく。
はじめの2項を単振動のエネルギーと比較して,
したがって振動の周期は,
となる。
のとき, となるので,それぞれ一周する間に,1回,2回,3回振動することになる。
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「目からウロコ」の教育的示唆に富む問題に出会った…と書いたのは,上の結果が, については逆2乗場における原点を焦点とする楕円軌道, については復元力場における原点を中心とする楕円軌道に直接関連するものであると考えたからだ。もちろん,これらの場合は近似をしなくとも楕円軌道になり,上の問題では近似をともなって軌道は楕円ではない。しかし,周回における振動回数という対称性において一致するのは,もちろん偶然ではないはず。
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(初稿:2010/07/22)