地球貫通トンネル内での無限回衝突

地球中心を貫くトンネル内の単振動問題はよく知られているが、2球が単振動をしながら衝突を繰り返す運動の考察がおもしろい。
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運動方程式と単振動の周期

地球を半径 R 、一様密度 \rho の球であるとする。地球中心Oを貫通するトンネルAB内で万有引力のみを受ける質点の運動を考える。

運動方程式
m\ddot{x} = - \displaystyle\frac{4}{3}\pi Gm\rho \cdot x = - Kx
周期は
T = 2\pi\sqrt{\displaystyle\frac{m}{K}} = \displaystyle\frac{2\pi}{\sqrt{\displaystyle\frac{4}{3}\pi G\rho}}
となる。

非弾性衝突を繰り返す運動

質量 m の小球PをAからスタートさせ、続いて等質量の小球Qを同じくAからスタートさせたら、P,Q はOBの中点Cで衝突した。はねかえり係数を e とするときその後の運動を考察する。
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力学的エネルギー保存
\displaystyle\frac{1}{2}m{v_c}^2 + \frac{1}{2}K\left(\frac{R}{2}\right)^2 = \frac{1}{2}KR^2
により、Cでの衝突直前の速さは
v_c = \displaystyle\frac{R}{2}\sqrt{\frac{3K}{m}}

衝突後の単振動の振幅を d とすると
\displaystyle\frac{1}{2}m(ev_c)^2 + \frac{1}{2}K\left(\frac{R}{2}\right)^2 = \frac{1}{2}Kd^2
より
d = \displaystyle\frac{R}{2}\sqrt{1+3e^2}
となる。

以後、P,Q は衝突ごとに力学的エネルギーおよび振幅を減じながら衝突を繰り返す。この運動の考察は、衝突ごとに位相交換をするので、等速円運動として考察するのがわかりやすい。

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P,Q は青色の位相で衝突し、その後位相交換とともに振幅を減じて茶色に移る。そのまま、円周上を反時計回りに同じ位相差でまわり、次に緑色の P,Q として衝突する。衝突ごとに振幅および位相差は同じように減少していくが、衝突位置が \pm R/2 であることには変わりがない。

左右交互の無限回衝突の後に、P,Q は一緒に振幅 R/2 の単振動を続けることになる。

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