回転円板上の単振動

たまに大学入試でみかける問題。最近では2021年東京理科大で出題されたようだ。鉛直軸まわりに角速度 \omega_0 で等速回転する円板上の半径方向の溝にそって、中心から伸びるばね定数 k のばねの他端につながれた質量 m の質点の単振動を考察する。

円板とともに回転する立場で運動方程式を立てると、

ma = - k(x - l) + mx{\omega_0}^2 = -(k - m{\omega_0}^2)(x - x_0)

となる。l はばねの自然長。
角振動数は

\omega = \sqrt{\displaystyle\frac{k - m{\omega_0}^2}{m}}

となる。

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※return キーを押すと連結した質点が離れ、残った質点が振動する。


ここで出てくる遠心力

f = mx{\omega_0}^2

がくせものである。これは回転系で現れる遠心力であり、ともに運動する立場での遠心力とは本来明確に区別されなければならないものと考える。入試問題などでは、適当な誘導や補足によってこれを回避するのが一般的だが、この区別が意識されていない場合も多い。実はこの区別は意外なところで重要な意味をもつ。それは潮汐力を考察する場合の公転の遠心力である。こちらは、回転系で現れる遠心力ではなく、ともに運動する立場で観測される遠心力である。2つの遠心力についての考察は今後もう少し整理して論じたいと思う。