次のようなちょっとおもしろい問題に出会った。
地球と月の2体間の運動を考える。地球の角運動量は潮汐力によって月に輸送されている。地球の自転が月に対して停止したときの月と地球の距離を計算せよ。ただし、
〇現在の月の自転の角運動量はゼロとしてよい。
〇月の軌道は円軌道を仮定してよいものとする。
〇地球は(本来は内側ほど高密度だが)密度一定の一様球とする。
地球,月の質量を 、半径を 、地球自転の角速度 とする。
地球‐月系の公転の角速度 が になったとき、距離が から になるとすると、角運動量保存により
ただし、
:換算質量
両辺第3項の差は小さいので無視せよ、というのが「月の自転の角運動量はゼロとしてよい」の意味である。
ケプラーの第三法則により
すなわち、
これを角運動量保存に適用した上で について解けばよいのではないかと思われるが、4次方程式となりなかなかやっかいである。
そこで、角運動量保存の右辺第2項も無視できるとする。
これなら簡単に解けて、
[m]
を得る。
ある試算では、自転停止が起こるのは500億年先のことだそうだ。もちろん、そのずっと前に地球は膨張する太陽にのみ込まれて太陽も寿命を尽くす。
参考:
https://nazology.net/archives/86597/3