質点のついた円板の斜面転がり

質量 M、半径 r の一様な円板があり、その中心から d の位置に質量 m の質点がくっついている。この円板が傾角 \alpha の斜面上で滑ることなく転がる運動を考察する。質点位置が円板中心と接地点中心をつなぐ半径上にあるとき(図の右側)に、放すとする。

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位置ベクトルの1軸回転

最近、固定座標軸2軸まわりの回転による位置ベクトルの移動を考察した。
位置ベクトルの2軸回転 - 科学のおもちゃ箱@Hatena

与えられた位置ベクトルを任意の位置に回転させるには、回転軸を任意に取れるならば本来1軸まわりの回転ですむ。回転軸は元ベクトル \boldsymbol{r} と先ベクトル \boldsymbol{R} の両方に垂直だから、両者のベクトル積方向となるだろう。

\boldsymbol{e}_\perp = \displaystyle\frac{\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{R}}{|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{R}|}

方向だけ取り出して単位ベクトルとした。回転角は、

\psi = \sin^{-1}\displaystyle\frac{|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{R}|}{r^2}

となるが、電卓や数学ソフトでは \sin^{-1} の値域は -\pi/2~\pi/2 だから、拡張のために次のようにする。

\psi = (\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{R} \ge 0)\cdot \sin^{-1}\displaystyle\frac{|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{R}|}{r^2} + (\boldsymbol{r}\cdot\boldsymbol{R} \lt 0)\cdot \left(\pi - \sin^{-1}\displaystyle\frac{|\boldsymbol{r}\times\boldsymbol{R}|}{r^2}\right)

不等号のあるのは論理式である。

以上で1軸回転の方法は終わりだが、これを検証するのはなかなか面倒なことになる。

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斜面台と小物体の相対運動

よくある相対運動の問題。
傾角 \theta の斜面をもつ質量 M の台の上で質量 m の小物体が摩擦なく滑り、それにともなって斜面台がなめらかな水平面上を運動する。

水平方向の運動量保存と、力学的エネルギー保存で多くの情報が得られるが、慣性力を考慮した運動方程式を立式して運動を記述したい。

図のように設定する。水平右向きに x 軸、鉛直上方に y 軸をとり、小物体の台に対する相対加速度 (\alpha_x, \alpha_y)、台の外から見た加速度を A<0 とする。

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弾性衝突後の角度関係

質点Aが等質量の静止した質点Bに弾性衝突したとき、衝突後の散乱方向が直交することはよく知られている。A,Bの質量が異なり、m_1,m_2 とするとき、静止したBにAが速度 v_0 で弾性衝突したときのA,Bの散乱角 \theta_1,\theta_2 の関係を求めたい。

運動量保存とエネルギー保存を連立させるわけだが、衝突方向はBの散乱方向とわかっているから、反発係数1が簡明だろう。

m_1v_1\cos\theta_1 + m_2v_2\cos\theta_2 = m_1v_0

m_1v_1\sin\theta_1 + m_2v_2\sin\theta_2 = 0

v\cos\theta_2 = v_2 - v_1\cos(\theta_2 - \theta_1)

\theta_1,\theta_2 は同じ向きに定義していることに注意。

第2式より

v_2 = - \displaystyle\frac{m_1\sin\theta_1}{m_2\sin\theta_2} v_1

第1式に代入して

v_1 = \displaystyle\frac{\sin\theta_2}{\sin(\theta_2 - \theta_1)} v

v_2 = - \displaystyle\frac{m_1\sin\theta_1}{m_2\sin(\theta_2 - \theta_1)} v

第3式に適用すると、

\displaystyle\frac{\sin(\theta_1 - 2\theta_2)}{\sin\theta_1} = \frac{m_1}{m_2}

という関係を得る。

もちろん、上の v_1,v_2 をエネルギー保存に適用しても、計算がやや複雑にはなるものの、さほどの労もなく同じ結果に至る。


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連星系の質量欠損

以前、連星系の公転が突然停止したら、とか、一方の質量が突然欠損したら、とかの突飛な考察をしたことがあった。
連星系の崩壊 - 科学のおもちゃ箱@Hatena
連星系の崩壊2 - 科学のおもちゃ箱@Hatena

今回の考察は質量欠損の続きだが、無限遠に離れて崩壊するというのでなく、どういう軌道にシフトするかを考えてみる。これも、「知恵袋」から拾ったネタである。

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斜面台への落下(力学的エネルギーは保存されるか?)

2020年東北大の力学問題を解説する動画がいくつかある。
問題
https://bouseijuku.sakura.ne.jp/2020tohoku-buturi-mondai.pdf
解説動画
2020 東北大物理 第1問解説 - YouTube
東北大学 2020年物理入試 全問題解説 #高校物理 #大学入試問題解説 - YouTube

最初見たとき、なるほどなあと一度は納得しかけたが、最終的にこれらの解説は誤りであると確信するに至った。要するに、衝突の全過程を経て力学的エネルギーは保存されるのか否か、という問題である。

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