平行軸の定理

「物理のかぎしっぽ」のQ&Aから
円柱(質量 M,半径 r,高さ h )の側面に垂直な中心軸まわりの慣性モーメント

(1) 円板の中心を通り円板に平行な軸に関する慣性モーメントは,(1/4)mr^2
(2) 平行軸の定理 I=I_C+M{R_G}^2
ただし,I_C は重心まわりの慣性モーメント、M は剛体の質量,R_G は軸から重心までの距離

を用いる。
円柱の重心を原点として軸方向に x 軸をとる。
座標 x において円柱を輪切りにして得られる厚さ dx の円板について,質量dm=Mdx/h として,慣性モーメントは
dI = \displaystyle\frac{1}{4}dm\cdot r^2 + dm \cdot x^2
したがって,円柱全体について積分すれば
I = \displaystyle\frac{M}{h} \int_{-h/2}^{h/2} \left(\frac{1}{4}r^2+x^2\right)dx = M\left(\frac{1}{4}r^2+\frac{1}{12}h^2\right)
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「平行軸の定理」は,こんなふうにこそ使うのだといまさらながら認識を新たにした。
定理右辺の第1項は重心まわりの自転の慣性,第2項は回転軸まわりの公転(重心運動)の慣性を意味している。
(初稿:2008/11/27)