ウェイトのついたターンテーブル

ファインマン流物理がわかるコツ」演習より。

【問題】(大学レベル)

半径 a ,質量 M の一様な円板でできたターンテーブルが,鉛直軸のまわりに自由に回っている。質量 m のウェイトが載っていて,軸からひもで引かれており,ターンテーブルの直径にそって摩擦なしで動くことができる。初め,全体の回転の角速度は \omega_0 で,ウェイトは軸から R の距離に静止していた。

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(1) ウェイトをひもで引いて軸からの距離 r で止めたとき,ターンテーブルの角速度はいくらになるか。
(2) ターンテーブルのエネルギー増加が,ひもから引かれた仕事に等しいことを証明せよ。
(3) 続いてひもが放されて,自由になったウェイトが軸からの距離 R の位置を通り過ぎるときの半径方向の速さはいくらか。

※ Algodoo の設定は,a=4.0 m, M=60 kg, m=20 kg,
R=3.0 m, r=1.0 m である。ウェイトはUPキーで軸方向へ,DOWNキーで反対に動く。また,リターンキー(Enter)を押すと,ウェイトは放される。

Algodooシーンのダウンロード
https://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=288&file=FMT14-8.phz


【解答】

(1)

ターンテーブル本体の慣性モーメントは,

I_0 = \displaystyle\frac{1}{2}Ma^2

である。求める角速度を \omega_1 とすると,角運動量保存により

(I_0+mR^2)\omega_0 = (I_0+mr^2)\omega_1 \qquad \therefore \omega_1 = \displaystyle\frac{I_0+mR^2}{I_0+mr^2}\;\omega_0

(2)

エネルギーの増加は,

{\it\Delta}E = \displaystyle\frac{1}{2}(I_0+mr^2){\omega_1}^2 - \frac{1}{2}(I_0+mR^2){\omega_0}^2\\
= \displaystyle\frac{1}{2}\cdot\frac{I_0+mR^2}{I_0+mr^2} m(R^2-r^2){\omega_0}^2

また,遠心力に抗してウェイトを引く仕事を計算すると,

W = \displaystyle\int_R^r (-mx\omega^2)dx = -m(I_0+mR^2)^2{\omega_0}^2\displaystyle\int_R^r\frac{xdx}{(I_0+mx^2)^2}\\
= \displaystyle\frac{1}{2}\cdot\frac{I_0+mR^2}{I_0+mr^2}\;m(R^2-r^2)\;{\omega_0}^2

となる。

(3)

ウェイトが軸から R の距離に動いたとき,角速度は \omega_0 にもどるから,求める速さを v とするとエネルギー保存により,

{\it\Delta}E = \displaystyle\frac{1}{2}mv^2 \qquad \therefore v = \sqrt{\frac{2{\it\Delta}E}{m}} = \omega_0\sqrt{\frac{I_0+mR^2}{I_0+mr^2}(R^2-r^2)}

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(初稿:2009/12/29)